香乱記

宮城谷　昌光著
全４巻
時代は秦の始皇帝が悪政を行った時代
滅ぼされた斉の末裔、田横のお話

田横と聞いてピンと来る人は少ないと思う
それ程マイナーな人です
横山光輝作の「史記」にて劉邦の使者の「酈食其」（れきいき）を煮殺したのが田横の甥であり斉王の田広
結局不意打ちを食らった斉では田広戦死し、田横が敗残兵をまとめてゲリラ戦をする事になる
また、この時期の項羽軍と劉邦軍の背景が細かく分かり、史記のみでは伝え切れてない出来事が書かれている
全てが真実ではないが、この作品を読めば漢楚の戦いがより面白くなると思う

「酈食其」（れきいき）が斉にこなければ、韓信vs田横という面白い戦いが見れたのかもしれない
そういう風に妄想するのも歴史小説の一つの楽しみ方だと思っている

楊家将

久々の紹介
北方 謙三氏の作品

時代は「宋」の初期
まだ「北漢」という国が残っており、統一一歩手前という状況。

この小説での主人公は「楊業」
最後に残っていた「北漢」の将軍でした
「宋」に帰順してからは北の騎馬民族国「遼」との戦いに活躍した人物

中国では「楊家将演義」として「楊業」のみならず、妻や息子、そして孫など「楊一族」が活躍する長編文学として人気があります。

今回の「楊家将」という小説では「楊業」を中心とした話になっています。

個人的に気になってたのが「宋」の趙匡義 (2代皇帝)と趙徳芳（小説では八王）の書かれ方。
この小説内では良い書かれ方をしていました。

内容的には「楊業」が死ぬまでというお話だけど、これが非常に歯がゆい所で終わっています。
歯がゆいというか喪失感？悲哀感。

元々が超長編文学なので「楊業」の死だけで終わらないのは分かっています。
が、この小説内だけだと「楊業」の非業の死で終わってしまっているので、感情移入して読んでいると読み終わった後にはなんともいえない感情が・・・。

まだハードカバー版のみですが続編も出ています。
本当はこの続編も文庫版になってから紹介したかったんですが、皆に自分と同じ、読み終わった後の悲哀感を感じて欲しくてあえて紹介してみた。

中国の戦国時代を読んでみる

戦国時代・・・春秋時代に晋という国が趙・魏・韓という３つに別れ、主に秦・楚・斉・燕・趙・魏・韓という大きな国がが覇権を争った時代。

この時代に活躍した人物が書かれた小説を紹介する。

春秋時代を読んで見る。

春秋戦国時代とはおおまかな言い方で、実際には春秋時代、戦国時代と分かれる。
その見分け方は春秋時代に繁栄した晋という国が、３つの国に分裂してからが戦国時代と呼ばれている。

まずはその春秋時代の人物が書かれた本を紹介したいと思う。

お勧め小説ー白起

白起

 塚本 青史 著

「霍去病」に続きまたもや同じ著者、塚本青史氏の作品。
春秋戦国時代末期、秦で活躍した人物。

この人物は戦えば勝つ、特に攻城戦においては抜けない城はないという猛将だった。
有名なのは魏という国と戦い斬首２４万、趙という国と戦い抗殺（穴埋め）４０万という途方も無い数字。
こうした武勲を立てたにもかかわらず最後は自殺を命じられる。

様々な人物の思惑が交差する中 、戦い抜いた人生がここに描かれている。